この先進医療は、造血幹細胞移植後にウイルス感染症が疑われる患者さんに対して、多項目迅速ウイルスPCR法による早期診断を行うものです。
造血幹細胞移植とは、血液のもととなる造血幹細胞を移植する治療法で、白血病や再生不良性貧血などの治療で用いられます。造血幹細胞移植の後は免疫力が大幅に低下し、さまざまなウイルスに感染する恐れがあります。診断が遅れると重症化して命の危険もあるため、ウイルス感染を迅速に診断する必要がありますが、現在行われている血液中の抗体の有無を調べる抗体法や、ウイルスのDNA量を調べるPCR法では、検査結果が得られるまでに数日かかってしまいます。
この先進医療で用いる多項目迅速ウイルスPCR法では、日和見感染症として重要かつ頻度が高い12種類のウイルスの有無を同時に検査することができます。また、ウイルスのDNAの抽出に約1時間、測定に約3時間しかかからないため、早期の診断が可能です。不必要な抗菌薬の使用を避け、速やかに抗ウイルス薬などによる治療を開始でき、適切な治療で重症化を防ぐことができると期待されます。

血液・リンパのがん

血液・造血器・免疫臓器の疾患

2015/05/01～