この先進医療は、糖尿病性腎症で重度の尿たんぱくが見られ、薬物療法で改善できない難治性高コレステロール血症を合併した患者さんに対して、LDLアフェレシス療法を行うものです。
糖尿病性腎症は、高血糖の状態が続くことで腎臓の糸球体の血管が傷つき、血液中の老廃物をろ過できなくなる病気です。進行すると尿たんぱくが見られるようになり、腎機能が著しく低下した場合には腎不全となり、透析療法が必要になります。
重度の尿たんぱくを伴うネフローゼ症候群では、一般的にステロイド薬による治療を行います。しかし、ステロイド薬によって糖尿病が悪化する恐れがあるため、糖尿病性腎症では免疫抑制薬などを用いますが、腎臓にかかる負担との兼ね合いから、症状改善がうまくいかないケースがあります。また、高コレステロール血症を合併することが多く、総合的な治療が重要となります。
LDLアフェレシス療法は、血液浄化装置を使って患者さんの血液からLDLコレステロールを取り除くものです。LDLコレステロールはいわゆる悪玉コレステロールで、血液中に増え過ぎると動脈硬化の原因になります。
LDLアフェレシス療法は、難治性高コレステロール血症に対して薬事承認を受けており、家族性高コレステロール血症、閉塞性動脈硬化症、巣状糸球体硬化症には公的医療保険が適用されます。重度の尿たんぱくを伴う糖尿病性腎症の治療実績や臨床研究報告もあり、LDLコレステロールが低下するだけでなく、尿たんぱくの低下や腎機能維持の効果も確認されています。この先進医療を行うことで、糖尿病性腎症の患者さんの重度の尿たんぱくの改善、透析導入の回避・延長が期待されます。

 

内分泌・栄養・代謝に関する疾患
腎・尿路系疾患および男性生殖器系疾患

2015/04/01～2022/03/31